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統計的手法によるメジャーリーグ野球の打順最適化モデルの構築
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内容注記 |
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Abstract
現在、様々な分野においてデータを有効活用し、知見を見出そうとする動きが益々盛んになってきている。これは、スポーツにおいても例外ではなく、日本にはスポーツのデータ解析・ソリューションの提供を強みとして、事業展開する企業も設立されている。野球に対してデータを活用し始めたのは、1970 年代にビル・ジェームズ氏が考案したセイバーメトリクス*1だといわれている。セイバーメトリクスとは、様々なデータを駆使して、野球の采配の妥当性などを議論するものであり、選手の能力を客観的に評価する指標も数多く考案され続けている。日本のプロ野球でも、1990 年代に東京ヤクルトスワローズの監督であった野村克也氏が提唱した「ID 野球*2」によってデータ活用が話題となり、データの重要性について広く認知されるようになった。以上より、野球に対してデータを活用し戦略分析をすることは、今後も重要なファクターとなっていくことに想像に難くないであろう。野球において、打順はチームが勝利するために極めて重要な戦術として挙げられる。理由の1つとしては、打順が1 つ前になるだけで年間10 打席以上の打撃機会が増えるといわれているからである*3。しかし、打順について我々はある程度の共通認識を持っており、例えば日本のプロ野球では1 番バッターは走塁能力に優れ出塁率が高い選手、2 番バッターは犠打などでランナーを進塁させ、3 番バッターは打率の高い選手、4 番バッターはホームランバッターを置くべきという考え方が広く一般的に信じられている。では、本当にそのような伝統的な打順構成が適切であるかについて検証するために、昨今様々な最適打順モデルが考案され、効果的な打順についての研究がなされている。しかし、それらのモデルが統計的に信頼できるか否かを検証したものはなかった。また、走塁能力を考慮した最適打順モデルについてはあまり研究がなされていない。本研究において、著者が取り組んだことは大きく分けて以下の2 つの項目である。1. 現実の野球を模倣するモデルの作成2. 最適打順の算出項目1 では、日本のプロ野球と比較して、多くのデータの入手が可能であるメジャーリーグ野球を対象とし、過去の統計データを用いることで、選手の打撃能力・盗塁成功率・バッターの打撃結果別のランナーの進塁法則などのあらゆる事象を考慮した、野球の試合を再現するモデルの開発を行なった。そして、作成したモデルが統計的に信頼性があり、現実の野球を模倣しているといえるだろうという結論を得た。これは、日本のプロ野球についても同様の結果が得られることが示唆される。項目2 では、あるチームに着目し、項目1 のモデルを用いてコンピュータシミュレーションによって考えられる全ての打順に対して、1 試合で獲得できる期待得点を算出した。また、それぞれの打順に対しての期待得点を算出する上で、計算量が膨大となってしまうことからCPU 上のマルチコアを用いた並列処理によって計算時間の節減を行ない、効率的にそれぞれの打順に対する期待得点を算出した。以上より、コンピュータシミュレーションによって算出された期待得点の大きい打順にはどのような傾向が見られるかについて定量的な考察を行なった。特にランナーの走塁能力を考慮するか否かで最適打順にどのような影響を与えるかについても定量的な考察を行ない、その有効性をシミュレーションによって確認した。
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Other
首都大学東京, 2018-03-25, 修士(理学)
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言語 |
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資源タイプ |
thesis |
出版タイプ |
AM |
資源識別子 |
HDL
http://hdl.handle.net/10748/00010396
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URI
https://tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp/records/6996
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収録誌情報 |
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学位情報 |
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学位授与機関
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学位授与年月日
2018-03-25
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学位名
修士(理学)
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ファイル |
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コンテンツ更新日時 |
2023-08-21 |