タイトル |
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ja
第一原理バンド計算からの有効模型構築に基づく異常量子輸送現象の理論的研究
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en
Theoretical study on anomalous quantum transport phenomena based on effective model Hamiltonians constructed from first-principle band calculation
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作成者 |
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ja
臼井, 秀知
ja-Kana
ウスイ, ヒデトモ
en
Usui, Hidetomo
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内容注記 |
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Other
2011
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Abstract
物性物理学の醍醐味は、物質個々の多様性と、その中に潜む物理学の普遍性にあるといえる。物理現象の背後にある普遍性について深く探究するにあたって、その本質を抽出した理論的な模型を構築することが極めて有効であることは、これまでの物理学の歴史が証明している。本博士論文では第一原理バンド計算を基に「最局在ワニエ軌道」の手法から構築した有効模型に対し理論解析を行うことにより、量子輸送現象の中でも(I)熱電効果と(II)超伝導に焦点をあてた研究を行った。バンド構造を正確に考慮した有効模型を用い、第一原理計算に取り込まれない電子相関効果を考慮することで、バンド構造の特異性やバンド構造と電子相関の協力によって異常な量子伝導現象が生まれるメカニズムの研究を行った。(I)熱電効果:ゼーベック効果における(1)軌道多重縮退と(2)電子相関の効果について、酸化物熱電物質のうち(1)d軌道が縮退するペロブスカイト構造と(2)強いスピン揺らぎを持つNaxCoO2を対象に研究を行った。その結果、軌道多重縮退効果は状態密度を上昇させることで、ゼーベック効果に有利に働くことがわかった。また、NaxCoO2に対するスピン揺らぎ効果はバンド幅と3次元性を減少させ、これらはゼーベック効果に有利に働くことがわかった。(II)超伝導:通常のフォノン媒介機構からは理解できない、電子相関効果が起源と考えられる非従来型超伝導体である鉄ニクタイド化合物を対象に、結晶構造・バンド構造・スピン揺らぎ・超伝導転移温度の相関関係を研究した。その結果、鉄ニクトゲン結合角はホールフェルミ面枚数をコントロールし、鉄ニクトゲン結合長はバンド幅をコントロールすることがわかった。さらに、超伝導転移温度は3枚ホールフェルミ面を持つ結合角領域で極大となり、結合長を伸ばすほど超伝導転移温度に有利となることがわかった。
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言語 |
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資源タイプ |
thesis |
資源識別子 |
URI
https://uec.repo.nii.ac.jp/records/1005
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学位情報 |
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学位授与機関
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学位授与年月日
2012-03-23
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ファイル |
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コンテンツ更新日時 |
2024-02-16 |