一覧に戻る

タイトル
  • ja 多点型機能的電気刺激リハビリテーションシステムにおける刺激位置再現性を用いた高速な刺激パターン探索
作成者
    • ja 岡野, 大輔 ja-Kana オカノ, ダイスケ
内容注記
  • Other 2018
  • Abstract 近年,脳血管疾患を原因とした肢体麻痺者が増加傾向にあり,特定の運動を獲得・回復することを目的としたリハビリテーション(以降「リハビリ」と表記)が行われている.脳血管疾患の後遺症に対するリハビリでは,機能障害及び機能低下の回復を促進するため,なるべく多くのリハビリを行うことが望ましいとされている.しかし,療法士の立ち会うリハビリには時間的制約が存在するため,患者にとって十分なリハビリを行うことが難しい.そのため患者自身が療法士のいない場で自主的に訓練できる環境が必要である.療法士の手を必要としないリハビリ方法として,機能的電気刺激(Functional Electrical Stimulation: FES)が注目されている.これは末梢神経を外部から直接電気的に興奮させることによって筋収縮を得るものである.FESの電極部には,埋め込み電極や針電極,表面電極が主に使用される.中でも表面電極を利用した表面電気刺激は装置の着脱が容易かつ非侵襲で,拘束性が低い.そのことから,リハビリの利用に適していると考えられる.ただし表面電極は埋め込み電極や針電極とは違い,筋に直接電気刺激を付与することができない.そのため,目的の筋収縮を得るための刺激位置探索が必要となる.特に筋肉が密集している部位では探索が難しく,専門の知識や経験を持つ人が電極の貼り換えを行いながら刺激位置を探索する必要がある.  表面電気刺激において専門の知識や経験がない人でも容易に行える探索手法として,多点電極を用いた探索がある.これは複数の電極をあらかじめ張り付けておき,各電極のON/OFFを制御することで,刺激位置探索を行うことができる.しかし電極数が多くなるほど,各電極のON/OFFの組み合わせである刺激パターンの数が増え,探索に時間がかかることが問題となる.筆者らは,専門知識を持たない人が短時間で行える,多点型FESによる刺激パターンの探索方法を提案してきた.提案手法による刺激パターン探索は探索時間を削減できたものの,リハビリの準備のために許容される時間よりも長く,使用者の負担になるという課題が残った.  本研究では,脳血管疾患の後遺症として麻痺が残りやすい手指を調査対象とし,多点型FESを用いて手指が大きく動くような刺激パターンの探索を行う.電極刺激パターンの再現性から,異なる日の刺激パターンを参考にすることで,探索時間を短縮することができるという仮説を立て,検証を行う.提案手法によって,従来手法の電極形状を限定した探索と同等な手指姿勢の取得を目指す.  最初に,異なる日の探索による手指姿勢の再現性を確認するための実験を行った.被験者ごとに5日に渡って全125通りの電極形状を限定した探索を行い,各日と他の日で得られた姿勢の相関係数をそれぞれ見ることで再現性の評価を行った.結果,平均で相関係数が0.64となり相関が得られたことから,異なる日の探索結果を参考データとして用いることができることが示唆された.次に,5日間の探索結果である電極パターンの重心座標と,得られた手指姿勢の各関節角度の情報からニューラルネットを用いた機械学習によって学習モデルを構築した.1日目から3日目の探索で得られたデータ群と1日目から5日目の探索で得られたデータ群から,3日間の学習データと5日間の学習データをそれぞれ構築した.これに目的手指姿勢を入力することで目的姿勢を実現させる刺激パターンの重心座標が出力され,これに沿った探索で得られた姿勢と目的手指姿勢との相関係数によって評価を行った.結果,従来手法の電極形状を限定した探索と比較し3日間と5日間の学習データを基にした探索は,それぞれ72~92%と62~92%の精度が得られた.また3日間と5日間の学習による探索を比較すると,得られる姿勢の精度に大きな差が見られなかったことから3日の学習データによる探索で十分な探索が行えると示唆された.今後は,異なる日の探索においてより再現性の高い姿勢が得られる探索システムの確立が期待される.
言語
  • jpn
資源タイプ thesis
出版タイプ AM
資源識別子 URI https://uec.repo.nii.ac.jp/records/8988
学位情報
  • 学位授与機関
    • 機関名称 電気通信大学
  • 学位授与年月日 2019-03-25
  • 学位名 修士
ファイル
    • 1732026.pdf
    • 5.4 MB (application/pdf)
      • Available2019-03-01
コンテンツ更新日時 2023-09-08