| 内容注記 |
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Other
2022
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Abstract
本研究では随意運動の一種である運筆動作に対してスケーリング解析を用いて習熟度評価を行う評価指標を提案する.先行研究においては,随意運動の一つである運筆動作と同期タッピング課題による二重課題法により実験系を構築し,抽出されたデータをパワースペクトル解析法やDetrended Fluctuation Analysis(DFA)によるスケーリング解析を用いることによる運筆動作の習熟度評価がなされてきた.しかしながら,被験者の習熟度の定量評価を行うための評価指標は提案されなかった.そこで,本研究では代表的な随意運動の一つである運筆動作を用いて反復的な随意運動のスケーリング解析と習熟度の関連性から,値が1以上であれば被験者が実験課題に慣れたと考えられる習熟度評価指標E_(day_f,day_l)^(knj,comp)を提案することを目的とし,習熟済みの文字として「電」「通」「大」,完全な未習熟の文字として梵字の「キリーク」を採用し,同期タッピング課題と運筆描画課題を組み合わせた二重課題実験系を用いた検討を行った.
結果として,「電」がその他の文字と比較したときに実験初日と実験最終日を比較するE_1,6^(knj,1)が1よりも大きい値となった被験者の割合が多かったことが分かった.本研究では,「電」を用いた事前実験である間欠周期選定実験を基準に実験系を構築しているため最も「電」に習熟が表れやすかったのではないかと考える.しかしながら,実験日初日と実験日2日目を比較したE_1,2^(knj,1)では課題文字「通」が最も1以上となった被験者数が多く,実験初日を基準とするE_(1,day_l)^(tsu,1)の中で比較してもE_1,2^(knj,1)が最も良い結果となった.加えて,課題文字「大」のように難易度が非常に簡単だと実験課題経過における慣れをつかむことが難しいということも分かった.課題文字「キリーク」に関してはピークであった実験最終日であっても全体の約半分しか評価指標E_(day_f,day_l)^(knj,comp)が1以上にならなかった.この結果から次のことがいえる.E_(day_f,day_l)^(knj,comp)は基準の被験者の慣れと目標の被験者の慣れを設定することによって様々な難易度の課題に対して適用できる可能性がある.一方で,E_(day_f,day_l)^(knj,comp)では完全な未習熟の課題や非常に簡単な課題には適用できない可能性がある.
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