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タイトル
  • ja 「炎上」現象の時間的構造に関する研究 -炎上現象の定量化および炎上と企業価値との関係性-
その他のタイトル
  • en Temporal Structure of “Flaming Phenomena” −Quantification of Flaming, and Relationship between Flaming and Corporate Value−
作成者
    • ja 加藤, 三四郎
    • 別名 en KATO, Sansiro
アクセス権 open access
主題
  • Other ja 炎上現象
  • Other ja 企業価値
  • Other ja テキストマイニング
  • Other ja 時系列解析
  • Other ja PN判定
  • Other ja 感情極性
  • Other ja 極性辞書
  • Other ja 匿名掲示板
  • Other ja SNS
  • Other ja 相互相関
  • Other ja 企業不祥事
  • Other ja 定量的評価
  • Other ja 時間単位
  • Other ja インターネット特有表現
内容注記
  • Abstract ja SNS(Social Network Service)やインターネット掲示板(以下、掲示板)などの自己発信可能なメディアの普及に伴い、いわゆる「炎上」現象(以下、炎上とする)の発生機会も増加したとされる。このため、企業が炎上により被害を受けるリスクも増している。企業を対象にした炎上は、企業の不正行為などに対して、消費者の意見が反映されやすくなるという社会にとって良い側面がある。その一方で、企業を対象にした炎上が増加することは、企業の情報発信を委縮させ、さらに、企業やその従業員などの不適切な行為に対して、企業への社会的な罰が過剰になりすぎるなど社会に対して大きな負の側面も持つ。 近年では、アルバイト従業員の不適切な言動により、そのアルバイト従業員を雇用する企業が炎上の対象となる事例も増加している。このようなタイプの炎上を、企業が未然に防ぐことは困難であることから、炎上の予防には限界があると考えられる。このため、炎上が発生した際に、当該企業の炎上被害を最小限に留める備えをすることが重要である。そのためには、炎上を定量的に評価し、炎上の定量評価データを基に、炎上の時間的構造を明らかにし、企業の炎上被害との時間的な関係性を検討したうえで、企業の対応策を検討する必要がある。 そのため、本研究では、炎上が発生した際の企業への被害を最小限に留めるために必要な知見を得ることを目的に、まず、炎上を定量的に評価する手法を検討し、次に、検討した手法を用いて炎上が企業価値に与える影響を時系列的に評価し、炎上が企業価値に影響を与えるプロセスの一端を明らかにした。 本研究は、5つの章で構成される。第1章では、炎上に関する研究や、それに関連する研究について整理し、それらの現状と課題を述べた。 第2章では、炎上について、定義が定まらず、研究者によって、炎上が多様に定義されるなか、いずれの定義でも投稿数が増加するという量的な側面と、その投稿内容がネガティブであるという質的な側面の両面があると解釈できることに着目し、量的側面から、炎上を定量評価することを試みた。これまで、SNSや掲示板への投稿数が曜日や時間帯などにより大きく変動することから、炎上の定量的な評価が困難であったと考え、同じ曜日、同じ時間帯の炎上していないときの平均投稿数もしくは平均投稿速度を100とし、炎上時を含む投稿数または平均投稿速度を指数化する「炎上値」という新たな指標を用いて炎上を定量的に評価する手法を提案した。そして、この炎上値を用いて、炎上の時系列解析を行う際に、掲示板において投稿のかたまりを示す「スレッド」を活用する方が、時間の単位を物理的な時間とするよりも、炎上の実情を把握できることを明らかにした。すなわち、新たに提案した炎上値を用いて、炎上を定量的に時系列解析する際には、その対象とする媒体に適した時間の単位が存在する可能性を示した。また、掲示板において、投稿者間のコミュニケーションの減少が炎上の予兆であることも示唆された。 第3章では、炎上についての質的な側面を定量的に評価する手法などを検討した。その手法として、炎上が発生しうる媒体のデータをテキスト化し、そのテキストに使用されている単語がポジティブであるか、ネガティブであるかを数値化するPN(Positive/Negative)判定を活用しようと考えた。PN判定には、判定対象のそれぞれの単語がポジティブであるか、ネガティブであるかについて、各単語のポジティブまたはネガティブの極性を数値化した極性辞書を用いる。しかし、既存の極性辞書は、その作成方法の制約などから、口語的表現やインターネット特有表現への対応などに課題があり、これらの表現が多用されるといわれる掲示板などへの投稿内容のPN判定に適しているとはいえない。このため、掲示板の投稿から抽出した単語を人が評価するという手法で、既存極性辞書の課題に対応できる辞書を新たに作成した。そして、この提案した辞書を用いてPN判定を行うことで、掲示板を媒体とした炎上に対して、より実情に沿った質的評価ができることを示した。 第4章では、第2章と第3章の結果をもとに、炎上の質・量両面からの時系列解析を行い、炎上対象となった企業の価値の指標として株価を用いることで、炎上と企業価値との時間的な関係性を定量的に検討した。具体的には、2019年に炎上が発生したとされる上場3社の炎上事例を対象に、各社への1日あたりのSNSへの投稿数、第3章で作成した極性辞書を基にした、投稿内容のPN判定で算出されたPN値および株価の終値の関係性を時系列的に解析した。その結果、企業を対象とした炎上では、炎上が発生する際、まず、PN値が負方向に変動、すなわち、ネガティブな投稿内容が増加し、その1日程度後に投稿数が急増することで、炎上が顕在化し、その2日程度後に、株価が低下するという、炎上とその炎上による企業価値への影響のプロセスを明らかにした。ただ、炎上が顕在化しても、その原因が、アルバイト従業員など企業自体でなく特定の個人にある場合では、必ずしも、企業価値が毀損されない可能性も示唆された。 第5章では、本研究の結論と今後の展望を述べた。本研究の成果のひとつは、炎上を質・量の両面から、より精緻に定量評価する手法を提案することができたことである。すなわち、炎上の実情に近い量的評価のためには、媒体に適した、時間の単位を用いる必要があり、例えば、掲示板の場合は、時間単位をスレッドにする方が効果的であることを示した。また、既存の手法では、投稿内容の質的評価が不正確なことから、投稿数が急増した際、その状況が炎上であるか、単なる議論や情報交換の活性化であるかの判別が従来は困難であったが、新たな極性辞書を作成し、この判別を容易にした。 さらに、これらの新たな手法を用いて炎上を量・質の両面から定量的に解析し、炎上対象の企業の価値との時間的関係性も明らかにした。その結果、投稿数が急増するまでの間に、炎上の原因を特定、評価し、適切な対応策を講じることで企業価値の毀損を最小限に抑える可能性を示すことができた。 しかし、本研究では適切な具体的対応策の提示にまでは至らなかった。この提示を可能にするためには、投稿内容の質的評価に、頻度分析や共起分析などを組み合わせることも、検討事項であると考えられる。
日付
    Issued2020-03-25
言語
  • jpn
資源タイプ doctoral thesis
資源識別子 HDL http://hdl.handle.net/10212/2561 , URI https://kit.repo.nii.ac.jp/records/2000379
学位情報
  • 学位授与番号 甲第951号
  • 学位授与機関
    • 機関名称 ja 京都工芸繊維大学
  • 学位授与年月日 2020-03-25
  • 学位名 ja 博士(学術)
ファイル
コンテンツ更新日時 2026-01-23