内容注記 |
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がんは正常細胞が遺伝子変異を起こすことにより発症し, 無秩序な増殖を続けながら浸潤や転移を繰り返す疾患である。進行すると多臓器不全や感染症により死に至るため, 早期発見が重要である。そのため, 近年, 血液や唾液を測定することでがんの早期発見を目指した研究が進んでいる。より早期に診断を行うためにはがんの進行に伴う血中代謝物の時系列変化を明らかにすることが重要であるため, 本研究では, がんのモデルマウスを用いてヒトでは行うことが難しい発がん過程の血中代謝物の時系列変化の解明と新規がんバイオマーカー探索を目的として行った。
本研究で用いたrasH2マウスは, ヒトプロト型c-Ha-ras遺伝子を導入したトランスジェニックマウスであり, MNU投与後13週間以内に90%以上ががんを発症するがんのモデルマウスである。健康な状態から末期がん状態までを26週間で観察することが出来るため, 発がん過程の観察や新規バイオマーカー探索に適している。rasH2マウス(n=60)とnonTgマウス(n=20)を用いて26週間短期発がん性評価試験を行い経時的に血漿を採取した。7週齢から33週齢の26週間のうち7, 9, 13, 15, 17, 19, 25, 33週齢の血漿(n=431)から代謝物を抽出し, CE-TOFMSにより測定を行った。
血漿中代謝物を測定した結果, nonTgマウスとrasH2マウスの血漿中代謝物プロファイルが異なることが分かった。nonTgマウスと比較してrasH2マウスの血漿中代謝物は, がん細胞と正常細胞を比較した先行研究と同様に有意なpyruvateの減少とlactateの増加がみられたことから, rasH2マウスは発がん物質への感受性が上がるだけではなく, がん細胞に近い代謝状態であることが推測された。また, rasH2マウスでは発がん状態に伴い血漿中代謝プロファイルが変化していた。特にcholineやアミノ酸6種は, 溶媒投与rasH2マウス群と比較して早期死亡群で有意に減少し, それらを用いてROC曲線を算出した結果, AUC値が0.9以上であったことから, これら7物質を計測することで発がん状況を診断出来る可能性が示唆された。
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慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス先端生命科学研究会 2014年度学生論文集
卒業論文ダイジェスト
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identifier:SFC-RM2014-003
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