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雌ペニス発見の経緯と進化学へのインパクトおよび昆虫の交尾ペアの観察手法の紹介
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作成者 |
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アクセス権 |
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主題 |
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内容注記 |
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Abstract
ja
生物学的に雌雄は,それらがつくる配偶子の大小により定義される。動物の場合,大きな配偶子,卵をつくるのが雌,小さな配偶子,精子をつくるのが雄,という具合である。一方,辞書でペニス(陰茎)を引くと,筆者が調べた限り全てで「体内受精を行う動物の雄の交接器」と言った説明がなされている。ペニスの有無は,生物学的な雌雄の定義には入っていないにもかかわらず「ペニスは雄の器官」と辞書に載っているのは,たまたまこれまでに知られている全ての動物で,交尾における挿入は雄の役割だったからに過ぎない。とは言え,ペニスが男性または男らしさの象徴と見なされて来たことに,異議を挟む人はいないだろう。2010年3月7日,かねてから親交のあるジュネーブ自然史博物館のチャタテ研究者,Charles Lienhard博士から添付書類付きの一通のメールが届いた。彼の論文原稿の査読依頼であったが,添付されていた原稿には,gynosomeという聞き慣れない名称のもと,どう見てもペニスにしか見えない「雌」の交尾器が図示・記載されていた(図1=Lienhard et al. 2010: fig. 6)。以前から個人的には雌の交尾器がペニス状になったチャタテの存在は伝え聞いてはいたが,実際に詳細な図を見るのはこれが初めてだった。論文の査読の際,果たして自分が今,雄の交尾器の記載を読んでいるのか,それとも雌だったか分からなくなるような奇妙な感覚に陥ったのを覚えている。この原稿こそが,2014年にわれわれがその機能を明らかにした雌ペニス(Yoshizawa et al. 2014)の持ち主,トリカヘチャタテ属Neotrogla(咀顎目Psocodea: ホラアナチャタテ科Prionoglarididae)の原記載論文であった(Lienhard et al. 2010)。衝撃的な論文ではあったが,極めて控えめなタイトルで,ジュネーブ自然史博物館が発行するスイス動物学雑誌に載ったこの論文の真の生物学的・進化学的価値は,2014年論文(Yoshizawa et al. 2014)出版までほとんど誰にも気づかれずにいた。
本稿では,雌ペニスの発見と研究の経緯や,この構造の進化的意義を紹介するとともに,この論文で用いた交尾状態のペアの簡便な固定法・観察法を紹介したい.元論文自体ごく短いものなので,内容の詳細については原著に当たっていただくか,または北大のプレスリリース(澤,2014)などを参考にしていただきたい。
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出版者 |
ja
一般社団法人 日本昆虫学会
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日付 |
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言語 |
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資源タイプ |
journal article |
出版タイプ |
VoR |
資源識別子 |
HDL
http://hdl.handle.net/2115/75562
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関連 |
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isIdenticalTo
DOI
https://doi.org/10.20848/kontyu.18.1_8
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NAID
130007636708
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収録誌情報 |
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ja
昆蟲.ニューシリーズ
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巻18
号1
開始ページ8
終了ページ16
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ファイル |
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コンテンツ更新日時 |
2023-07-26 |